120点の専門分野よりオールマイティに100点を

―こちらのクリニックは先生で3代目だそうですね。
はい。祖父の代にここで開業し、それから移転することもなく50年ほどが経ちます。

私自身は絶対に歯科医師になりたい! と小さい頃から思っていたわけではありませんが、

やはり働く父の姿を見てきたこともあり、高校生くらいの頃には自然と歯科医師を志すようになりましたね。

このクリニックを継ぐことになったのは10年ほど前。父が病気になったことがきっかけです。

父は私の意思を尊重してくれる人だったので、「働きたいところで働けばいい」と言ってくれていたのですが、

この地域で生まれ育ち、この辺りで生活していくんだろうな、という意識はずっと持っていたので、そのまま一緒に働き始めました。

―長く通われている患者さんも多いのでしょうか?
そうですね。長い方だともう4代にわたって来てくださっている患者さんもいます。

私が子どもの頃から知っている患者さんもいらして、お世話になった小児科の先生も来てくださっているんですよ。

やはり地元の方は長く通ってくださる方が多いので、歯周病や予防も含めて口の中を良い状態でキープしたい、という需要が高いですね。

ただ、立地的なものもあり、地元の方だけでなく近隣の会社にお勤めの方も多くいらっしゃいます。

そういう方の中には定期的に通ってくださる方もいれば、詰め物が取れたからと駆け込んでくる方もいます。

みなさん、お昼休みを利用して来たいという声が多く、それに合わせて診療時間も午前を14時まで、午後を15時からに設定しているんですよ。

その時間内であれば、基本的にオペなどが入っていない限り、急な患者さんにも対応するようにしています。

―先生は審美やインプラント治療がご専門と伺いましたが。
大学を卒業後、私立の病院に入り、最初は一般歯科の診療を行なっていました。

そこで働くうちに、外科にも来てほしい、というお話をいただき、どちらの治療も経験しました。

ですので、インプラント治療と審美歯科は専門と言っていいかもしれません。

しかし、私としては専門性を強調して診療を行いたい、という気持ちはないんですよ。

確かに経験も積んでいますから得意分野と言えるかもしれませんが、そこで120点を取るわけではなく、全体的に100点の治療を行うことが目標なんです。

その大前提のもと、歯を治すことの中に「歯をきれいにする」という選択肢も当たり前に含まれている。

本当に専門的な技術が必要なものに関しては、専門性の高い歯科医師に頼めばよいのですから、

それよりも「何かあったら岡田歯科医院に行けばいい」と思ってもらえるクリニックであることが私の中では重要だと思っています。

マニュアルにはない「ホスピタリティー」を大切に

―診療の際はどのようなことを心がけていますか?
患者さんとの間に壁を作らないことです。歯科医師に限らず、医師の中には患者さんと同じステップに立たないように、という意見もありますが、

歯科医師と患者さんも、突き詰めれば一人の「人と人」です。そこで線を引いてしまうと患者さんも話しづらくなってしまいますし、

一方通行の治療になってしまいます。あくまでも患者さんのお話をうかがい、意向をくんで、その上でこちらはこういう治療ができますよ、という提案をしていく。

技術や知識の研鑽は歯科医師である以上、当然の努力ですが、それは多くの引き出しを持つことで選択肢が広がり、患者さんにより喜ばれる治療を提供することにもつながると考えています。

―クリニックの強みはどのような部分だと思われますか?
スタッフ全員が歯科衛生士の資格を持っており、トータルで治療を進めていくことができる点です。

常時数名のスタッフがいるので、歯周病の予防やブラッシング指導、インプラント治療後のメンテナンスなども、

歯科医師である僕と一緒にチームでサポートしていくことができます。

スタッフは皆、長く働いているのでとても仲が良く、連携も非常にスムーズに取れていると思いますよ。

結婚や産休、中には海外留学やワーキングホリデーなどを経て戻って来るスタッフもおり、

みんながお互いの事情を受け入れながら、不在の間のフォローもしっかりと行う体制をつくっています。

当院はいらっしゃる患者さんの地域や職業、年代も幅広いので、そういう点でも信頼できる対応力を持ったスタッフを最初の段階から厳しい目で判断し、採用しています。

―たとえばどのような点を特に厳しく見ていらっしゃいますか?
ホスピタリティーがやはり一番大切ですね。それを「これをやりなさい」とマニュアルにするのではなく、

他のスタッフから自然とあふれ出るものを肌で感じて身につけていく。

そういうスタイルをめざしています。当院では採用時にあえて診療方針を伝えたりはしていないのですが、

試用期間を経て半年ほどすると、勝手に身についていきます。

もちろん、口で言わなくては身につかないことはしっかりと指導しますし、わからないことはその都度質問を受けたり、

院内セミナーを定期的に開催したりはしています。

ただ、当院の大切にする「人との関わり」のもっとも基本的な部分は、マニュアルや口頭での指導ではない部分だと思います。

誰もが気軽に入れるクリニックであり続けたい

―クリニックの雰囲気づくりで心がけていることはありますか?

「高級すぎず、カジュアルすぎないクリニック」ですね。

重厚感やきらびやかな雰囲気はないけれど、清潔感と温かみがあって自然と笑顔があふれるクリニックをめざしています。

実は、そういう雰囲気や診療方針を理解していただくために、初診の患者さんには個室ではなくオープンユニットでまず診察を受けていただくようにしているんです。

口で説明するよりも周囲の雰囲気で感じていただいた方がわかりやすいと思いますから。

土地柄、さまざまな人が来ますが、人によって特別扱いをすることはありませんし、裏の団地の方も来れば近隣のオフィスワーカーも来る。

本当にどんな方でも気軽に通えるクリニック。都心には少し珍しいタイプかもしれませんが、長く通ってくださる患者さんは、そういうスタンスに共感して来てくださっているんだと思います。

―今後はどのようにしたいとお考えですか?
幸いなことに、現状、多くの患者さんにお越しいただいているので、本当はクリニック自体をもう少し大きくしたいという気持ちはあります。

いずれユニットも増やしていかなくては、と考えてはいますが、私一人で目の届く範囲は限られています。

10台、20台、2軒目、3軒目とただ大きくすることは考えていません。あくまでも、患者さんとの関わり方において、これまでの診療スタイルを維持していける範囲が理想です。

それは、もともと父の代からこのクリニックが患者さんとの関わりを大切にし続けて来たこともありますし、

私自身がその理念に共感し、受け継いでいきたいという気持ちを持っているからだと思います。